昨日は個人事業主として開業するための流れや必要なものをまとめました。
今回は個人事業主の会計管理や確定申告についてアウトプットしていきます。
このテーマは非常に奥が深く、勉強すればするほど専門性も高まります。
それこそ税理士(会計士)やファイナンシャルプランナーという仕事があるように、この分野の知識や経験だけで十分仕事になります。
ただ、私たちはあくまでも経営者です。数字を扱うことは大事ですが、まずは数字に対して意識を持っておくことが最も重要であり、細かい会計・簿記の知識や確定申告の具体的なやり方を知っておく必要はありません。
まずは意識付けできればOKです。
私自身、偉そうに言っているかもしれませんが最初のうちは数字への意識、会計管理への意識は薄かったです。ですので、自戒の念も込めてアウトプットしていきます。
日常の会計管理は会計ソフトを使用
あなたは普段の生活で家計簿は使用していますか?
使用していても、していなくても大丈夫ですが、個人事業主になったからにはしっかりとした会計管理が必要です。
これこそ、まさに経営者の仕事とも言えます。
個人事業主であれ法人の代表であれ、経営者であることに変わりはありません。個人事業主だから緩くていいとか、そういったことはありません。個人事業主と法人の違いは制度上の違いのようなもので、実際に取り組む自分自身の意識は一緒であるべきです。
つまり、個人事業主として開業したからには、会社の社長と同じような立場であり、意識であるべきです。
こうした精神論はさておき、事業を開始すると日々様々なお金の動きが発生します。
出ていくお金、いわゆる「経費」に代表されるお金は仕入れや備品購入などで発生します。
入ってくるお金、いわゆる「売上」に代表されるお金は取引先からの入金や、お客さんからの直接的な支払いで発生します。
こうした入金と出金の管理を便利に出来るのが会計ソフトです。
中でもクラウド会計ソフトは非常に便利で、私も実際に個人事業主の時から利用しています。
ここでは代表的なクラウド会計ソフトを2つご紹介します。正直、そこまで大きな違いはありませんので、担当の税理士さんが使っているとか、知り合いの経営者が使っているとか、たまたまキャンペーンをやっているとか、そのくらいの感覚で問題ないです。
freee(フリー)
freee(フリー)は私も実際に使っているクラウド会計ソフトです。
銀行口座をオンラインで連携しておくと、取引内容を自動的に取得してくれるのが最も便利な点です。
自分で1件ずつ入力しなくても、通帳に記帳される1件ずつの取引が自動的にアップされます。それを1つずつチェックして、事業に関係あるのは該当する科目に登録すれば終了です。
ですので、楽天銀行だと最初からオンラインですし、私は個人事業主の時はりそな銀行を使っていて、りそな銀行のオンライン登録をしてfreeeと同期して使っていました。
ちなみに現在はみずほ銀行の法人口座でオンライン登録しており、やはり自動で取り込みをしています。
これがあるのと無いのでは相当時間も手間も変わります。
要は自動連携があると記帳作業の下準備が終わっているも同然です。あとは該当する勘定科目に登録していけばOK。
勘定科目も全て覚える必要は全くありません。それぞれ「こんな時に使う勘定科目だよ」というのが書いてあるので、それに沿って入れていけばOKです。
私は他のクラウド会計ソフトを使ったことが無いので他との比較は出来ませんが、freeeは使っていて不便に思ったことはあまり無いです。強いて言えば、レポートを出力した際にあまり見栄えが良くない点はあります。ちょっと見づらいです。
ただ、それも慣れれば問題ないです。
余談ですが、クラウド会計ソフトを比較している記事はよく見かけます。ただ私からすれば実際に全部使ったうえで書いてるのか?といつも思います。大抵、それぞれのサイトに載っている情報をまとめているだけです。確かにそれはそれで便利ですが、いったい何を根拠に比較しているのか不明です。なので私が紹介できるのは実際に使っているfreeeだけです。
一応、もう1つ紹介はしますが、あくまでも他人から聞いた情報なのでご了承ください。
弥生会計オンライン
弥生会計はもともと会計ソフトのアプリケーションを提供していました。
それが現代の流れに合わせてクラウドサービスとして登場した、ということになります。
弥生会計自体が会計ソフトを長年扱ってきた実績があるので、その点は信頼して使えます。私は使っていませんが、このように実績があるサービスやソフトなら信頼に値しますので検討してみてください。
確定申告の概略
ここからは確定申告についてまとめていきます。
確定申告という言葉は個人事業主では無くても聞いたことがある人も多いでしょう。
実際、個人事業主では無くても本業とは別に収入がある人は確定申告が必要になります。
確定申告とは?
確定申告とは、簡単に言えば所得に対する税金を計算して、税金を支払うための手続きです。
一定の所得がある人は所得税などが発生しますが、その所得がどのくらいあり、そしてその所得の発生に対してどの程度の必要経費があったのか、そういった収入と支出を洗いざらい算出し、的確な税金を納めるための計算、整理をしていきます。
そのため、確定申告が必要な人は個人事業主に限らず、一定の所得が発生した人、ということになります。
確定申告が必要になる人
・事業所得があった人(個人事業主)
・配当所得があった人(個人投資家)
・不動産所得があった人(不動産投資家)
・給与所得があった人(一部のサラリーマン)
・退職所得があった人(主に退職金)
・譲渡所得があった人(相続など)
・山林所得があった人(土地所有者など)
・雑所得があった人(年金や事業的規模でない副業、よくあるのが競馬などのギャンブル)
対象期間は全国民が共通で決まっており、計算期間は1月1日から12月31日の1年間です。
つまり、自動的に個人事業主の事業年度も年初から年末まで、ということになります。
※法人の場合は自分で決めることが出来ます。
年が明けたら確定申告の準備や作業を始め、実際に申告・納税できる期間の中で手続きを実行します。
申告・納税期間は毎年2月15日~3月15日辺りです。「辺り」と書いたのは年によって曜日が変わるので、土日祝で始まりまたは終わることが無いので、15日が土日祝なら次の平日になる、ということです。
ちなみに2019年は2月18日(月)から3月15日(金)でした。
確定申告をしないと、どうなる?
確定申告はあくまでも「自主的な申告」です。「申告」自体は義務ではないですが、「納税」は義務です。つまり国民の義務である納税をするための作業である確定申告をしないということは、自動的に納税の義務も怠るということを意味しますので、実質義務と言えます。
なお、確定申告は納税額を計算するための手続きと書きましたが、場合によっては税金を「支払う」のではなく「戻ってくる」場合もあります。還付申告と言いますが、要は計算した結果、納める税金より戻ってくる税金の方が多くなった場合に還付が発生します。
税金が戻ってくるからと言って一概に得したとは言えませんが、貰えるものは貰ったほうがいいですので、いずれにしても確定申告はしっかりやりましょう、という話に尽きます。
自分でやるか、任せるか
確定申告を自分でやるか、税理士に任せるか、という議論があります。
この辺りは考え方の違いです。「経営方針」とも言えます。個人事業主になると意思決定の連続です。
「決める」ということがどれだけ難しいか、もしくは簡単か、それを体感することになります。
それはさておき、経営方針や考え方に正解はありません。「自分がそうしたい!」と思ったことを判断しましょう。
ちなみに私は税理士に依頼していました。その方が早いですし正確だからです。あとは単純に本業に集中したかったのもあります。
副業や副収入程度でのシンプルな収入・支出しかない人は自分自身で確定申告することもできます。
自分でやる場合、確かに覚えることはありますが、税理士に数万円の費用を払うより、自分でやってしまった方が早い、楽だという人もいます。
あとは時間との兼ね合いですね。「時間を金で買う」では無いですが、多少なりとも余裕があるなら依頼してしまった方が本業に割ける時間は確実に増えます。税理士に依頼すると言っても個人事業主の確定申告であれば数万円で済む場合があります。
私の場合は日々の記帳作業は全て自分で行ない、最後の確定申告の部分だけ依頼した、という内容で数万円でした。
日々の記帳作業も全て依頼するとなれば数万円では済まないですが、出来る部分は自分でやって、最後はお願いする、というのが私の中ではベストでした。
青色申告とは?
青色申告とは様々な優遇特典のある確定申告の方法です。青色申告のほかに白色申告があります。
両者を簡単に表現すると、
- 青色申告は処理が少し複雑だけど、節税対策の範囲が広い
- 白色申告は処理が簡易的で簡単だけど、節税対策の範囲は狭い
と言えます。
どちらが良いかと言えば、圧倒的に青色申告です。
理由は後述しますが、特別な理由が無い限り、とにかく青色申告を選択すべきです。開業届を提出する際に必ず一緒に青色申告をする旨の書類も提出してください。
では、青色申告をするメリットは何か。1番のメリットは青色申告特別控除です。
青色申告特別控除とは売上から経費を差し引いた「所得金額」から65万円を控除できるというものです。
例えば売上が150万円、経費が50万円だったとすると、所得は100万円になります。つまり100万円に対して所得税が発生することになりますが、青色申告をしておけば65万円が控除(引かれる)ので35万円分で済むということになります。
ちなみに、そこまで所得(利益)が無かった場合、納める税金は無しということもあります。
個人事業主として事業をスタートさせ、順調に利益を稼げればいいですが、最初から上手く行くとは限りません。もし所得が少なかったり、赤字になってしまった場合、税金は掛かりません。
世の中的には納める税金は少ない方が良い、「節税すべし」という風潮があります。
もちろん、無駄な税金を払う必要は無いですが、「節税ありき」では失敗します。まずはしっかりと売り上げを上げ、利益を出し、税金を納め、ある程度軌道に乗ってきてから節税できる部分はしてくのがベストです。
ですので、売上も上がっていないのに「節税しましょう」という税理士はクビにしましょう。
個人事業主の収入・経費
実際に事業を始めると、様々な収入や支出(経費)が発生します。
ここでは主な収入と経費、個人事業主の給料なども含めて整理していきます。
個人事業主の給料はどうしたらいいか?
まず最初に自分自身のお金のことですね。
個人事業主になると、会社員のように決められた日に一定額の給料をもらったり、賞与(ボーナス)や昇給ということが無くなります。
しかし、逆に言えば給料は自分で設定し、コントロールすることが出来ます。
会社員や法人の代表は給料の額が決まっていますが、個人事業主は必ずしも一定額を決められた日に受け取る必要はありません。
大前提として、自己資金や金融機関から借り入れした資金は事業の為に使うものであり、個人的な生活費やプライベートな出費は個人の資産から支払う、という考え方があります。
それはもちろんそうですが、実際に事業を始めると、そんな綺麗ごとは言っていられなくなりますし、現実的にどうしても煩雑になります。
その辺りの線引きは法人になれば厳しくなりますが、個人事業主だと曖昧な要素が多いです。
最もよくあるケースは自分のお金で事業の経費を立て替えることです。
事業の付き合いで飲みに行き、その飲食代を自分が支払ったとします。本来は事業用の口座から出すべきですが、いちいち財布を分けたりするのは面倒ですので、自分の財布(またはクレジットカード)から支払うことになります。
その支払いは後に経費になりますが、こうした立て替えの清算を後からすることが出来ます。
また、どうしても個人的な生活費のために事業資金に手を付けることも現実としてはあります。
個人事業主は自分が事業主であると共に、個人でもあります。要は「持ちつ持たれつ」という関係です。
これは法人の代表と法人にも言えることですが、事業の為に必要なお金を個人が出すこともあれば、その逆も然りということです。
少し話が逸れましたが、個人事業主の給料は経費になりません。
そのため、会社員のように一定の金額を決めるというよりは、まずは事業の為に使う資金の確保をして、余った分を生活費に回していく、というのが現実的な運用になります。
ですから、給料を厳密に決める必要はないと考えています。
私も個人事業主時代は給料の金額を決めていませんでした。
まずは事業が優先。そこで上手く行って少し余裕が出来たときに、ちょっと美味しいものを食べに行ったり、欲しかった服を買ったり、そんな感じです。
もちろん、私利私欲のために使うのは論外です。恐らくそのような人は私のブログも読んでいないので心配はしていませんが、結論としては個人事業主の給料は設定しなくてもいい、というのが私の答えです。
個人事業主の収入
個人事業主にとっての収入は、まさに売り上げです。
店舗を運営していれば商品代金やサービス代金をお客様から頂き、それが売り上げとなります。
私のようにインターネットをメインにビジネスをしている人は商品販売やサービスを提供するプラットフォームからの入金が売り上げとなります。
物販ならAmazonや楽天市場など、デザイナーやライターならクラウドワークスやランサーズといったプラットフォームがあります。あるいは直接のやり取りで請求書を発行し、直接振り込んでもらうといった形もあります。
こうした収入源は、とにかく小さくてもいいから複数あった方が絶対に良いです。
例えばデザイナーとして独立・開業したとしましょう。
主な仕事はウェブデザイン、バナー制作、チラシデザイン、といったデザイン関連業務。だからと言って必ずしもデザインの仕事は毎月安定して来るかと言えば、最初は特に難しいでしょう。
であれば、ウェブデザインが出来るということは、ある程度パソコン操作もできるはずです。そうした「派生」による仕事をすることも可能になります。
例えば旦那さんや奥さんがいて安定収入があるとか、家族が裕福で個人事業主の仕事は趣味みたいなものだ、という人なら良いかもしれませんが、そうでなければ、ある程度は自分が出来るスキルを見直し、複数のスキルができる「考え方」を持っておくと大事です。
別に実際にできるかどうかは心配する必要なんてありません。
流石にHTMLが分からない人が「1からWEBサイトを作れます」というのはリスクがありますが、例えば自分の事業のためにGoogleスプレッドシートを使っているなら、そのスキルを活かして他社の入力業務や管理作業を請け負う、というのはアリです。
あなたが当たり前に出来ることは、他の人にとっては仕事として依頼してもいいスキルかもしれません。
自分の可能性や業務範囲を狭めず、広めに意識を持っておくと良いです。
個人事業主の経費
収入のところで収入は複数あった方がいいと書きましたが、そうは言ってもなかなかいきなり複数の収入を作るのは難しいものです。
一方、経費は物凄く多くの、複数の経費が同時多発的に発生するのが事業というものです。
例えば店舗を開業するなら家賃、内装費、設備費、備品代などが一気に発生します。
私はインターネットを活用したビジネスでしたので、そこまでまとまった経費が必要では無かったですが、それでも毎月の家賃は当然掛かりますし、何と言っても仕入れをしなければ売り上げにならないので、仕入れ費用(仕入れ原価)は掛かります。
私たちは事業に限らず、生活しているだけでも多くのお金が発生します。
それは事業になっても同じことで、たとえ小さなお金でも多くの経費があります。
大事なことは、「この経費は何になるのか、本当に必要なことか」を意識することです。
もっと言えば、本来は経費というのは売上を作るために必要なものです。だから「必要経費」という言い方もあります。
逆に言えば「売り上げを作れない出費」は経費とは言いません。
ですから、例えば交際費として飲み会に行くのもいいですが、その相手が本当に仕事に必要な飲み会なのか?
あるいはただのプライベートで愚痴をこぼすだけの生産性の無いバカみたいな飲み会なのか?
そこはきっちり考えるべきです。
シビアなことを言っていますが、実際にそういった意識は大事です。
別に生産性の無い飲み会が悪いとは言いません。ただ、それを個人事業主で独立したからと言って「経費経費~」なんて言ってたらあっという間に事業は続かなくなります。
「たまに」なら良いですが、きちんと売り上げを作れる出費なのかは意識しておくと成功に近づきます。
税理士の選び方
最後に会計を管理したり確定申告をする際に重要な存在となる税理士についてです。
確定申告のところでも書きましたが、もし自分で確定申告する場合は税理士は不要です。法人になると決算処理は複雑なのでほぼ必須と言えますが、個人事業主なら税理士と契約していない人も多くいます。
依頼するしないは自由ですが、税理士と契約したい、依頼したいという人は、その選び方にポイントがあります。
クラウド会計ソフトが使えるか
もしクラウド会計ソフトを自分が使う場合、税理士もそのソフトが使えることが大前提です。
というより、むしろ税理士に相談すると税理士からクラウド会計ソフトを紹介してくれることも多いです。
言い方は悪いですが、一昔前の税理士はクラウド会計ソフトが使えず未だに紙で処理している人もいます。それが悪いとは言いません。
自分自身も紙が良い、という人は、むしろそういったアナログが得意な税理士に依頼したほうが良いです。
クラウド会計ソフトが使えるかどうかを前提にしたのは自分も使う前提、という意味なので、ポイントとしては自分と同じような環境に違和感なく対応できるかどうか、が重要です。
自分の事業に対して経験があるかどうか
これはかなり重要です。
例えば飲食店をやるなら、既に飲食店の税務や会計管理の経験がある税理士を選ぶのが絶対に良いです。
税理士なら誰でも出来るでしょ、と思いがちですが、実際には税理士にも得意不得意や経験の有る無しがあります。
特に私のようなインターネットでの物販をする人や、インターネットビジネスをする人は注意が必要です。
なので、必ず事前相談で自分の事業を説明するだけでなく、その税理士が得意な分野、既存顧客の業種、過去の経験は絶対にヒアリングしましょう。
気が合うかどうか
税理士は開業したばかりの個人事業主にとって最初のパートナーとも言えます。
また、今後もコンスタントに付き合っていくことになりますので、そもそも人間的に気が合うかどうかは意外と重要です。
「気が合う」というのは完全に主観なので人それぞれですが、そういった相性を確認する意味でも必ず事前相談はしましょう。
ちなみに私がお願いしている税理士の先生はクラウド会計ソフトが使えて、年齢も割と近く、インターネット関連のビジネスにも明るいので満足してずっと依頼しています。
経営者の大事な仕事
どのような事業であれ、個人事業主は「主」ですから経営をすることになります。
経営者の仕事は事業を進めることもそうですが、その事業を進めるために数字が必要にもなります。
この辺りがざっくりだと、例えばせっかく良いビジネスモデルであっても、素敵なお店を構えたとしても、優れた技術を持っていたとしても、その強みや魅力が最大限活かすことが出来ません。
冒頭でも書いたように、専門家になる必要はありませんが、日々の数字や会計管理の意識を持っておくことは経営者の第一歩と言えます。
私もまだまだ意識が足りないこともあります。
一緒に頑張っていきましょう。
合同会社FRONTIER TRADE代表社員。
一人でも出来るビジネスを通じて一生涯に渡って稼ぎ続ける情報を発信するメディア「ひとりカンパニーのススメ」を運営。自らもひとりカンパニーとして輸入総代理ビジネス、Webサイト構築、メディア運営、YouTubeなどに取り組む。