久しぶりにせどり(国内転売)の話をします。
今回のタイトルは私にしては珍しくキャッチーな感じですが、先にお伝えしたいことは「私の稼いだ自慢」ではありません。
私は以前、せどり(国内転売)を実践していました。それこそ半年30万円くらいのコミュニティ(コンサル)に入って学びました。
現在はすっかり足を洗い、輸入総代理ビジネスを中心とした自社商品の展開とビジネスサポート事業(個別サポートやコミュニティ運営サポート)に注力しています。
物販事業は自社商品、サポート事業はその経験を活かした取り組みということで親和性もあり、相乗効果もあります。ですので2020年は特に力を入れて本格的に稼働させ、事業を軌道に乗せたいと考えています。
つまり現在は全くもってせどり(国内転売)はやっていません。
とはいえ、たまたま直近でせどりに関する自分自身の「今の考え方」を体現した出来事があったので記事を書こうと考えました。
この記事は現在せどり(国内転売)に取り組んでいる方に読んでいただきたいですが、特に「何となく稼げるからやっている」とか「せどりの限界は感じているけど、どうすればいいか分からない」という方に向けて書いていきます。
せどり本能で5万円を2時間程度で稼いだ話
まず最初にタイトルの内容についてです。
せどりと言ってもやり方によって様々ですが、私が教わったのは「トレンドせどり」という世の中の流れをキャッチして売れそうな商品を仕入れて販売する手法でした。
その当時は芸能関係や日常生活の流行などをリサーチし、売れそうな商品を探してAmazon本体がいるかどうかの確認や仕入れ先の確保などをしていました。(詳しい方法は随分前に書いています。)
世の中的にはご存知の通り、新型コロナウイルスが感染拡大しており、連日報道されています。
日本では新型コロナウイルスの報道があった今月初めくらいの時点では割と楽観的な報道が目立ち、メディアも含めて他人事のような雰囲気がありました。
その新型コロナウイルスのニュースを受けて私が最初に思ったのは「これから間違いなくマスクが売れる」ということでした。
しかも報道が出始めた当初は楽観的な内容だったのですぐにマスクが品薄になることはありませんでした。
しかし、この記事を書いている1月末時点ではテレビやSNSでも話題になるくらいマスクが品薄となっており、ネットはほぼ品切れ状態です。店舗に行けば多少はあるかもしれませんが、普段ではあり得ない「お一人様2個まで」といった制限が掛かっています。
私はこの一連の流れを、まさに「せどり本能」で察知し、マスクの仕入れをしました。金額にして約2万円ちょっとくらい。大した規模感ではありません。
仕入れが完了すれば、あとは商品が届き、FBAに送れば終了。FBAに在庫計上されて売れるのを待つだけです。
ざっくりですが、
- 商品選定(リサーチ):1時間
- 仕入れ(ネット):5分
- FBA対応:30分
- 注文確認:5分
こんな感じで約2時間くらいの作業でした。まさしく片手間くらいで本業に影響のない範囲。
結果、Amazon本体が在庫切れを起こしてマーケットプレイス出品者による価格高騰が発生。想定よりも高く売れて売上で約10万円くらい。諸経費を全て加味した利益は約5万円となりました。ちなみに商品は出品された瞬間に出荷対応に変わったので本当に数時間で完売しました。
実質2時間以内の作業で利益5万円。悪くないですね。
こうして私は新型コロナウイルスのニュースから「せどり本能」が働き、ちょっとした利益を得ることが出来ました。
せどりに社会性も継続性も無い
ここまでの話までだと稼いだ自慢で終わりです。
世の中にはこうした稼いだ自慢で情報発信をして、せどり(国内転売)を教える人がたくさんいます。確かにせどりは分かりやすいですし月利30万円前後くらいなら再現性は高いと言えます。
今回のケースで言えば、もっとたくさん仕入れておけばもっと多くの利益を稼げたことになります。更に追加で仕入れもすれば、このトレンドはしばらく継続しそうなので簡単に稼げそうなものです。せどりをメインにやっている時であれば間違いなく継続するでしょう。
しかし、私はこの一回きりで辞めました。
では、なぜ私が一度は真剣に学んだせどりを辞め、今回のようにちょっとした利益だけ得て辞めたのか。
理由は単純で、せどり(国内転売)には将来性も社会性も無いからです。
本来、適正価格で販売されるはずの商品を高く売ることは社会的に見れば決して喜ばれることではありません。
確かに一時的な需要と供給のバランスが崩れるから今回のようなことが起きるわけですが、それを続けたところで喜ばれるどころか、一部の転売ヤーの買い占めによって本来欲しい人に適性価格で届かないという弊害が起きます。
「そんな偉そうなことを言っておいてお前もやってるじゃないか」と言われるかもしれません。
確かにそのご指摘は正しいです。しかし、私はあくまでも利益5万円程度で辞めましたし、今後続けていく気はありません。
私にとって今回のせどりで5万円を稼ぐことは「ボーナス」的な感覚です。
もっと他に良いやり方を知っているから無くても困らないし、片手間でサクッと出来るからやった、という感じです。
それは「せどり本能」と書いたように私が過去に学んだことや経験したことがあったからこそ、瞬時の判断で本能的に出来たことです。一度自転車に乗れるようになったら、しばらく時間が空いても感覚は忘れないはずで、それと一緒です。
自転車に乗れるようになったばかりの頃は「自転車に乗る」こと自体が楽しかったですが、すっかり乗れるようになったら「必要な時に乗ればいい」という感覚になるはずです。目的から手段に代わると言えるかもしれませんね。
また、せどり(国内転売)には継続性がありません。
今回は新型コロナウイルスが大きな話題になったからマスクが売れた、というだけであって、これが1年後も2年後も続きません。(続いていたらそれはそれで問題ですが…)
例えば今回の経験をきっかけに、より高性能なマスクを開発して提供しよう、と考えたら話は別ですが、そうでもない限りは一過性です。
私がトレンドせどりをやっていた時に一番感じたのは、この一過性という要素です。一時的に稼げてもそれが続くとは限らない。
手を変え品を変えでひたすら商品リサーチや情報収集をしなければならない。
参入障壁も低いから小遣い稼ぎでちょこっとやる人もいれば、それを本業として事業レベルでやる人もいる。
知識や経験はある程度積めるかもしれないけどビジネスモデルとしては積み上げ式ではない。
まさにカオスな世界がせどり(国内転売)市場だと考えています。
目的を明確にすることが何より重要
ここまでをまとめるとせどり(国内転売)批判とも受け取られるかもしれません。
それは半分正解ですし、半分はそうじゃありません。
せどり批判という意味では前述の通り社会性がなければ継続性も無いという点で、会社の事業として誇れるようなものではないと断言できます。
一方、せどりは参入障壁が低く、月利20~30万円くらいなら稼ぎやすいので起業するための資金作りやビジネスを学ぶきっかけにするには良いビジネスです。もしいま真剣に取り組んでいるのに稼げない人は、余程レベルの低いコンサルに捕まったか、独学で正しいやり方を実践できていないかのいずれかだと思います。
一時的に稼ぐ分には原資も少なくて済みますし、即効性もあります。
つまり、ビジネスを始めるうえでの初期ステップだったり、規模を大きくせずに副業と決めて月10万円を確実に稼げればいい、というスタンスで取り組む分には適しています。
しかし、せどりで一生食べていこうとか、年商数億円を目指してガンガンやろうと本気で考えているなら、今すぐ辞めることをお勧めします。
事業は社会性と継続性で真価を発揮する
どのような事業(ビジネスモデル)であれ、社会性と持続性を見いだせるものが真価を発揮すると考えています。
私はいま海外ブランドの総代理店をしており、国内でのブランディングやD2Cモデルの構築、Shopifyの活用に注力しています。
そして、その経験や事例を同業の経営者とシェアすることで新たな情報を得たり、実務的なお手伝いをしたり、あるいはこれから実践してみたいという方のためのサポートをすることで親和性が生まれています。
これらの取り組みは社会性があり、なおかつ継続性もあります。
もちろん今ものすごくあるわけではなく、これから情報発信を続けていくことで浸透させていくものです。ですから成長途上であり偉そうに言えたことではありませんが、少なくとも先の見えないせどり(国内転売)と比較すれば自信を持って言えることです。
繰り返しにはなりますが、せどりを全否定しているわけではありません。
せどりを上手く使って資金を作ったり、逆にそこまでの規模じゃなくお小遣い稼ぎでやる、といった割り切りをしていれば良いと考えています。
最後になりますが、今回せどりで扱ったマスクは世の中的にも割と深刻な品薄を起こしているようです。
少しの数であれば良いですが、大量に買い占めて本当に欲しい人のところに届かない状況を作るのは危険です。そういった背景もあるので他の商品以上に気を遣うべきですし、そういったことで稼がないといけない状況からは脱却すべきだと重ねてお伝えしておきます。
合同会社FRONTIER TRADE代表社員。
一人でも出来るビジネスを通じて一生涯に渡って稼ぎ続ける情報を発信するメディア「ひとりカンパニーのススメ」を運営。自らもひとりカンパニーとして輸入総代理ビジネス、Webサイト構築、メディア運営、YouTubeなどに取り組む。