今回はクラウドファンディングで成功するための秘訣やポイントをまとめていきます。
大きく分けるとクラウドファンディング成功の秘訣は3つあります。とはいえ、決して特別なことではありません。
先に結論を書いてしまうと、以下の3つだと考えています。
- 条件
- 準備
- 熱意
それぞれについて詳しくアウトプットしていきます。
ここでのクラウドファンディングとは商品を提供する購入型クラウドファンディングを想定した内容になっています。
クラウドファンディング成功の定義
まず初めに何をもって「クラウドファンディングの成功」とするかを定義したいと思います。
本来、クラウドファンディングの成功は起案者によってそれぞれです。つまり正解はありません。
とはいえ「正解は無い!」では話が進められませんので、「多くの人がそうだろう」という観点で書いていきます。
目標金額を達成する
クラウドファンディングでは自分で目標金額を設定することが出来ます。厳密にはAll in方式かAll or Nothing方式かによって異なりますが、流石に「目標金額を達成しなくていい」というマインドでクラウドファンディングをする人はほぼいないと思います。
まずは目標金額を達成し、更にそこからどのくらいの支援を伸ばせるか。あるいは目標金額の達成が実際の開発費や仕入れ原価となるといった設定をすることで、目標金額の達成がクラウドファンディングの成功となると言えることに異論は無いでしょう。
目標金額を達成することはクラウドファンディングの成功の1つと言えます。
内部的に設定した支援額(数)を超える
目標金額はクラウドファンディングのプロジェクトページにも表示されるので分かりやすいですが、もっと細かく社内的な目標を設けている場合もあるでしょう。
例えばクラウドファンディングの目標金額は30万円だけど、何とか100万円は集めたい!とか、100人に支援してもらいたい!といった具合です。
この辺りは事業者それぞれになりますが、こうした社内的に設定している目標に到達するかどうかもクラウドファンディングが成功したと言えるかどうかの判断基準になるでしょう。
利益を確実に確保すること
クラウドファンディングの始め方を解説した際に、リターンの設定で割引を適用することが一般的になっていると書きました。
また、クラウドファンディングのプラットフォームから差し引かれる手数料も加味すると、手元に残る金額(実際に振り込まれる金額)はシビアになりがちです。
クラウドファンディングで調達した資金は購入型クラウドファンディングの場合、そのまま仕入れ資金となります。支援を集めた分の仕入れ資金、あるいは最小ロット分が賄えるだけの支援が集まれば良いですが、結果次第ではギリギリ、もしくは追加で持ち出しが必要になる可能性もあり得ます。
実際に諸々の経費を差し引いても、しっかりと利益を確保することが出来た。この結果も列記としたクラウドファンディングの成功と言えるのではないでしょうか。もちろん、利益を確保することは最低ラインとして、いかに多くの利益を確保できるか、高い目線を持っている場合も同じことが言えます。
例えば利益で10万円を確保する!という目標に対して20万円の利益があれば、クラウドファンディングの成功と言えます。
どれを成功の定義するかは人それぞれですが、主にこうした要素が考えられるのではないでしょうか。
クラウドファンディング成功の秘訣1:条件
では、実際にクラウドファンディングを成功させるための秘訣を考えていきます。
まず1つ目は条件です。
具体的な条件はいくつかありますが、いずれもハッキリと数字で表現できるものや商品そのものを指します。詳しく説明していきます。
最小ロットはどのくらいか?
プロジェクトを実行するにあたって必ず必要な条件は最小ロットです。たとえ自社で工場を持っている会社だったとしても、新商品を開発するために必要な材料の調達などから最小ロットは発生してくるものでしょう。
私が取り組む輸入総代理ビジネスも同様に、メーカーから仕入れする際に必ず最小ロット(MOQ)が設定されています。
では、クラウドファンディングを成功させるために最小ロットという条件がどのくらいだと成功する可能性が上がるでしょうか?
答えは「少なければ少ないほど良い」ですね。
極論、最小ロットが1個であれば、ほぼリスクはありません。
言い換えれば、最小ロットが1個のメーカーと契約ができれば、その時点でクラウドファンディングは成功したようなものです。
それくらい最小ロットという条件は重要です。
もちろん、これは自社の資金状況によっても異なります。冒頭で書いたクラウドファンディング成功の定義を例にとって「赤字でもいいから絶対に目標金額を達成させたい!」を目標に設定するのなら最小ロットは関係ないかもしれません。
しかし、クラウドファンディングを起案するような中小企業や小規模事業者、あるいは大企業であっても予算度外視でOKということはまず無いでしょう。
最小ロットという条件が少なければ少ないほど、クラウドファンディングの成功に近づくと言えます。
品質に問題は無いか?
当然のことながら商品の品質は最も重要です。
いくら「良さそう」に見える商品でも実際に商品が届いたら欠陥だらけのクレームだらけで炎上しては元も子もありません。
特にクラウドファンディングでは商品が試作品段階で実物を訴求することが難しい傾向にあるため、お届けしてからの品質は生命線となります。
先ほど書いた最小ロットと矛盾するようですが、商品の品質を向上させるポイントの1つに大量生産があります。
職人が全て手作業で製造する商品だと別ですが、多くの商品は工場にラインを設け、一度にたくさんの商品を製造できるような体制を取っています。
仮にその商品を初めて製造する工場だった場合、例えば1000個注文が来たら必ずそれよりも少し多めに製造します。なぜなら必ず不良品が出るからです。既に製造したことのある、実績のある商品なら良いですが、それでも不良品は出るものです。
ましてや初めて製造する商品だった場合、簡単に言えば「工場も失敗をする確率が高い」ということです。
つまり、品質を上げたければたくさん作って「工場に経験させる」ことが重要になります。
そのため最小ロットは少なければ少ないほど良いと書いた一方で、品質を担保するためには、ある程度の製造数が必要なのも事実です。
この辺りは工場次第なので、ロットが少なくても過去の経験や実績から高い品質で納品してくれる場合もあれば、逆に大量生産したにもかかわらず品質が悪いこともあり得ます。
そのため一概には言えませんが、最小ロットと品質の兼ね合いで落としどころを探っていくのがクラウドファンディングの成功を近づけることになります。
つまり、極論にはなりますが「最小ロットが1個で品質も高い(あるいは問題ない)」という条件であれば、これはまさにクラウドファンディングの成功に直結すると言えます。
利益はどのくらい確保できるか?
最後に大事な条件がもう1つ、それが利益計算です。
先ほど書いた「最小ロットが1個で品質も高い(あるいは問題ない)」という条件だったとしても、クラウドファンディングの手数料や割引適用後の価格帯で「どのくらいの利益が確保できるのか」を計算する必要があります。
仮に最小ロットが1個、品質は良い、仕入れ原価は1万円、としましょう。
この商品が5万円で売れそうな商品なら良いですが、せいぜい1万円くらいが妥当な商品だったら全く利益が出ません。利益が出ないどころか、売れば売るほど赤字になります。
これではビジネスになりませんので、いくら最小ロットや品質の条件を満たしていてもクラウドファンディングが成功するとは言えません。
「そんなことあるの?」と思われるかもしれませんが、意外と起こり得ます。上記は分かりやすく表現していますが、特に独学でトライして誰のアドバイスも受けずに進めていくと、こうした罠に陥ってしまいがちです。
3つの条件をバランス良く考慮すべし
ここまでに書いた3つの条件(最小ロット・品質・利益)を考慮したうえで、どこに重きを置くかは人それぞれとなります。
理想としては最小ロット1個、品質は良い、利益も確保できる、という3つが揃えばベストなのは言うまでもありません。とはいえ、実際にはそこまで理想的な条件を満たせることはそう簡単とは言えません。
この3つの条件をどこまで満たせるか、それを突き詰めていくのがクラウドファンディング成功の秘訣と言えます。
クラウドファンディング成功の秘訣2:準備
ここからは実際にやるべきノウハウ的な要素になります。
クラウドファンディングの成功には事前準備が欠かせません。「条件」で書いた利益計算や品質確認といった準備も重要ですが、仮にそれらが整ったとしても「あとは始めればOK」ではありません。
逆に条件の部分に多少の課題があったとしても、準備次第でクラウドファンディングを成功に導くことが出来ます。
準備に必要な具体的ノウハウを見ていきましょう。
自分のSNSをフル活用する
クラウドファンディングの本質は不特定多数の人たちからインターネットを通じて支援を募ることです。とはいえ、確かに不特定多数ではありますが、実際には必要としている人に届けることが重要です。
例えば「この商品は友達の○○さんに使って欲しい」というイメージがあれば、本人に直接伝えるのが自然な行動です。
似たような考え方で、自分の友人や知人、あるいは取引先の人の中で「実はこんなことに興味があった」という潜在的な興味関心に訴えかけることが重要です。
よくマーケティングの話で潜在層がどうとか顕在層がどうといったことを聞いたことのある方も多いでしょう。確かに体系的に学ぶならその通りですが、そのままでは活用できません。実際にアプローチできて初めて活かすことが出来ます。
そういった意味で、自分の身近な人たちに自分のプロジェクトを告知したり、シェアしてもらったり、あるいは感想を聞くなどが有効な準備と言えます。こうした行動を支えるのが自分のSNSです。
SNSなら自分をフォローしてくれている友人などに告知できますし、それこそインターネットですから遠方に住んでいて会えない人にも届きます。私もよく自分のSNSでクラウドファンディングのことを投稿させてもらいますが、結構、実際に会った時に「クラウドファンディングやってるね!」と言ってもらうことが多々あります。
特に仕事と直接関係の無い昔からの友人や先輩後輩と会う時にはよく言ってもらえます。
実際にSNSで「いいね」や「シェア」が無かったとしても、結構みなさん見ているものです。逆に言えば、いくら「いいね」や「頑張ってください!」といったコメントをしている人でも、関係性が薄ければそれ以上は何の意味もなく、ただ機械的な作業で終わってしまいます。
「実際に面識や関係がある友人や知人だから」というのが大きいです。更に言えば、自分の友人で実際に使ってもらえそうな人、あるいはその分野が好きな人だったら言うことなしです。
こうした考え方がベースにあったうえで、全く見ず知らずの人たちにもアプローチするために広告を出稿したり、クラウドファンディングのプラットフォームに告知してもらうことが重要になります。
クラウドファンディング成功の秘訣は自分のSNSをフル活用することです!
会える人には直接伝える
自分のSNSをフル活用する、というところでも書きましたが、会える人には会って伝えるに越したことはありません。
このように書くと「友達に商品を売りつけるなんて嫌だ」とか「ねずみ講みたいで気が引ける」という声を聞きます。
でもよく考えてみてください。
人に自信を持って紹介できない商品を、あなたはクラウドファンディングで不特定多数の人に支援を募っているのですか?
言い方は悪いですが、友人にはお勧めできないけど知らない人なら良い、という考え方と言えます。
そんなはずはありませんよね。
もちろん、友人や知人に宣伝しまくって「買って買って!」と言うのは嫌がられるでしょう。
しかし「いま自分の会社でこんな商品のクラウドファンディングをしてるんだ~」という話なら何の問題もないでしょう。むしろ知らない人からすれば「クラウドファンディングやってるなんてすごい!」と言われてもおかしくありません。
別に凄いと言われたくてやっているわけでは無いので、そこが重要ではありませんが、「買ってもらうため」に話をする必要などないのです。
例えば「もし時間があったら見てみてよ!」とか「興味ありそうな人がいたら紹介してね」とか、あるいはお店をやっている人と知り合いなら「ちょっとだけチラシを置かせてくれない?」というのも良いでしょう。
クラウドファンディングを実行している話を「営業」と考えるのではなく、自分の仕事の一環として普通に話をすればよいのです。
ぜひ、会える人には会って伝えましょう。
もしある程度の人数が集まる場所で話せる機会があれば、宣伝色が強くならない程度に告知するのも有効です。
そういった意味では、私が所属している輸入商社コミュニティPIUでは多くの人がクラウドファンディングを起案していますので、「こんなクラウドファンディングやってます!」という告知や案内は日常茶飯事です。
人が集まる企画や仕掛けをする
ここで言う人が集まるとは、クラウドファンディングのプロジェクトページに人が集まる仕掛けです。
最も分かりやすいところではWEB広告が活用できます。詳しい出稿方法は別の記事に書いているので割愛しますが、WEB広告、新聞広告、雑誌広告などの有料施策は分かりやすい方法です。
その他にも自社の顧客に対してメールマガジンやLINEを配信したり、イベントを企画したり、ユーチューバーやインフルエンサーに紹介してもらったりなどなど。
商材によって相性の良し悪しはありますが、こうした人が集まる仕掛けや企画を準備することがクラウドファンディングの成功に繋がります。
この辺りはテクニカルなノウハウとも言えますので、経験や引き出しの多さが重要です。
経験がない人、引き出しが少ない人はどうすればいいか?
経験がある人、引き出しが多い人にアドバイスをもらえばOKです。
逆に言えば、何の準備もせず、ただプロジェクトページを作成しただけで満足してはいけません。残念ながら「クラウドファンディングをすれば支援が集まる」という時代は終わりました。
少しでも多くの工夫と準備をして臨むことがクラウドファンディング成功の秘訣です。
クラウドファンディング成功の秘訣3:熱意
いよいよ最後の1つです。
これまで挙げてきた「条件」と「準備」は、極端な話、誰でも出来ることです。
最後は熱意です。
これは誰にも変えることが出来ない「あなただけの強み」です。
まさに「あなたがクラウドファンディングを起案した根底にある想い」とも言えます。
なぜ、その商品(またはブランド)でクラウドファンディングを起案したのか?
「金儲けのため」であれば、残念ながらいずれあなたのビジネスは終わりを迎えます。別にお金を稼ぐことが悪ではありません。ビジネスをする上で利益は必要ですし、犯罪さえ犯さなければ悪いことでも何でもありません。
しかし、これはクラウドファンディング成功の秘訣に限らず、ビジネス全般あるいは人生においても言えることですが、金にフォーカスする人は、稼げている時は良くても稼げなくなった瞬間に絶望します。
今回はマインドの話を書きたいわけでは無いので、これ以上は辞めておきます。
話を戻して、クラウドファンディングをしようとする商品やブランドに対して、どれだけの熱意を持って取り組めるかがクラウドファンディング成功の秘訣です。
熱意は目に見えません。
これまで挙げた条件や準備は目に見えたり数字で表現できますが、熱意だけは目に見えません。
しかし、言い換えれば熱意があればあるほど、特に準備の部分で厚みを増します。条件もそうです。
条件で言えば、メーカーに対して熱意を持って接すれば相手にも伝わります。「この人なら任せてもいい」と思ってもらえれば独占契約が取れる可能性も上がりますし、仕入れ原価が安くなったり、最小ロットが緩和される可能性もあります。
準備で言えば、友達に熱意を持って話をすれば「こいつは本気なんだな」と思ってもらえる可能性があります。そうすれば自分は売るつもりはなくても自然と支援してくれるかもしれませんし、積極的に他の人に紹介してくれるかもしれません。
自分が実際に利用したい商品・サービスか?
すでに大部分を書いてしまったので、そこからすれば当たり前かもしれません。
「自分が実際に利用したい商品あるいはサービスか?」という要素は重要です。
私はこれまでに自社でクラウドファンディングを起案した商品は自分でも実際に使っています。なぜもっと売れなかったのか不思議なくらい、便利だと思ってますし重宝している商品も多々あります(笑)
それはさておき、私の周りでクラウドファンディングを起案する経営者も、やはり自分自身でその商品を使っている、という人が圧倒的に多いです。
これは熱意と似ていて愛着と言えるでしょう。
商品やブランドへの愛着が無いと、たとえクラウドファンディングで成功してもその後に躓きます。逆に最初から愛着があればクラウドファンディング成功の秘訣となります。
クラウドファンディングが始まる前にサンプルを取り寄せると思いますので、ぜひサンプルを自分自身で使ってみましょう。そうすることで愛着も湧きますし、現実的にその商品の良さや、逆に課題も分かってきます。
「こういう時は使いづらいから、これはクレームになる可能性があるな」といった要素が見つかれば、それに気付けたことも立派な成功です。小さなことですが、クラウドファンディングで成功している多くの経営者が実践していることです。
メーカーと頻繁に連絡を取っているか?
こちらも既に触れたので詳しくは繰り返しませんが、熱意があればメーカーと頻繁に連絡を取るようになります。
事務的に必要なことに限らず、例えばその国の文化を聞いたり、もっと理想を言えば家族のことやプライベートのことまで聞けたら最高の関係ですね。
要はファミリーのような関係性になれば理想的で、これは海外メーカーに限らず国内でもそうでしょう。
そこには、やはり熱意や思いやりといった「気持ち」があれば自然と行動に移せることです。
まさに恋愛と同じで、好きな人のためなら何でもやってあげたい、あるいは一緒にハッピーになりたいと考えるのが自然です。
感情論だけでは成功しませんが、感情が必要なこともまた事実です。
クラウドファンディング成功の秘訣まとめ
クラウドファンディング成功の秘訣は突き詰めていくと「いかに人を見ているか」だと考えています。
本文中でも書きましたが、クラウドファンディングは「インターネット」を介して「不特定多数」の人に支援を募ります。言うなれば顔出ししなくてもできますし、周りの人に知られることなく起案できます。
もちろん、最終的には商品力が重要ですから、たとえ起案者にやる気や熱意が無くても支援を伸ばし、成功することは可能です。例えば他の事業で稼いだ資金があるから潤沢に広告宣伝できるとか、テクニック重視で集客を効率化させるとか、そういったことも重要です。
あとは、「本当にそれでいいですか?」ということだけです。
成功体験は重要ですので、感情論は抜きにしてまずは成功して稼ぐ!という考え方は一理あります。ただ、そればかりにフォーカスして金を稼ぐことが先行してしまったら、少なくとも私からすれば人間味がないというか、詰まらない人生になると考えています。
私自身、まだまだクラウドファンディングで大成功したとは言えません。これからもチャレンジし続けていきたいので、またこの記事を読み返して自分自身が原点に戻るためのきっかけにしたいと考えています。
ぜひ、これからクラウドファンディングに挑戦する方にもお役に立てば光栄です。
合同会社FRONTIER TRADE代表社員。
一人でも出来るビジネスを通じて一生涯に渡って稼ぎ続ける情報を発信するメディア「ひとりカンパニーのススメ」を運営。自らもひとりカンパニーとして輸入総代理ビジネス、Webサイト構築、メディア運営、YouTubeなどに取り組む。